2011年8月25日木曜日

解剖1

1.1 眼瞼eyelids
² 構造
{ 眼瞼筋
¤ 眼瞼挙筋
¤ 眼瞼板筋, ミュラー筋Muller's muscle
交感神経支配の平滑筋であり、眼瞼挙上に関与する。
{ 眼輪筋
² 眼瞼運動障害
{ 眼瞼下垂
{ 兎眼lagophthalmos
眼瞼の閉鎖不全によって眼球が露出している状態であり、長く続くと角膜が乾燥して角膜潰瘍となる。顔面神経麻痺が原因となる。

1.2 眼窩orbit
² 眼窩壁
{ 前頭骨
眼窩の屋根を構成する。
{ 蝶形骨sphenoid bone
蝶形骨の小翼は視神経孔を含み、眼窩の屋根を構成する。
{ 頬骨zygomatic bone
眼窩側壁の前面を構成する。
{ 上顎骨
{ 涙骨lacrimal bone
{ 篩骨ethmoid bone
{ 口蓋骨
眼窩は総計7個の骨によって構成され、上下内外側の4壁に分けられる。まず上壁は主として前頭骨眼窩面からなり、後端に蝶形骨小翼がある。下壁は上顎骨眼窩面が主であり、口蓋骨の眼窩突起がその奥に存する。内側壁は篩骨の眼窩板と涙骨からなり、外側壁は頬骨の眼窩面と蝶形骨の大翼によって形作られる。

² 陥穽
{ 眼窩上孔foramen supraorbitale
三叉神経(眼窩上神経) および眼動脈(眼窩上動脈) の通路。
{ 涙腺窩fossa glandulae lacrimalis
{ 視神経管canalis opticus
視神経および眼動脈の通路である。
{ 上眼窩裂¯ssura orbitalis superior
動眼神経、滑車神経、眼神経、外転神経、上眼静脈などの通路。
{ 下眼窩裂¯ssura orbitalis inferior
上顎神経(眼窩下神経)、頬骨神経、下眼静脈などの通路。眼窩下動脈はここから眼窩に入り、眼窩下孔へ抜ける。
{ 涙嚢窩 fossa sacci lacrimalis
鼻涙管が通る。
{ 頬骨眼窩孔 foramen zygomaticoorbitale
頬骨神経の通路。ここから頬骨管canalis zygomaticus が始まり、骨内で分岐して頬骨顔面孔と頬骨側頭孔に分岐する。
{ 眼窩下孔 foramen infraorbitale
眼窩下神経および眼窩下動脈および眼窩下静脈の通路。

1.3 眼の脈管
² 動脈系
{ 眼動脈ophthalmic artery
内頸動脈からの終枝のひとつである眼窩上動脈は、眼窩上孔を通って前頭部に抜け、以下の枝を出して眼窩の構造物に血液を供給する。
¤ 網膜中心動脈central retinal artery
視神経の中心を通り、視神経乳頭上で枝分かれしたのち、神経線維層で毛細血管網を形成しながらさらに分岐する。
¤ 涙腺動脈lacrimal artery
涙腺と上眼瞼に分布する。
¤ posterior ciliary artery
¢ long posterior ciliary artery
¢ short posterior ciliary artery
¤ medial palpebral artery
¤ supraorbital artery
¤ supratrochlear artery

² 静脈系
{ 網膜中心静脈
直接に海綿静脈洞に入るものと上下眼動脈に入るものがある。

1.4 結膜conjunctiva
² 概念
結膜とはまぶたの内面と強膜の前面をおおううすい透明な膜であり、眼球と限瞼をむすぶ組織である。結膜の知覚は、三叉神経の第1 枝と第2 枝によって支配されているため、角膜と同じく痛覚と冷覚だけしかない

² 構造
{ 眼瞼結膜palpebral conjunctiva
{ 円蓋部結膜forniceal conjunctiva
瞼結膜から球結膜へと移る間の部分。
{ 眼球結膜bulbar conjunctiva
角膜との境界で強膜の上をおおいっている部位。

1.5 外膜
1.5.1 角膜cornea
² 概念
角膜は眼球の最前部にあって強膜とともに眼球の前壁を構成する。なお角膜は無血管組織であり、栄養の補給と代謝産物の除去は前房水・蹄係網・涙水によってなされる。

² 機能
その機能は、眼球の形態を保持するとともに、透明性を維持して外界の光線を通過させ、かつ屈折させる点にある。
{ 屈折
眼の屈折力は約60 ジオプトリーであるが、角膜のそれは40 ジオプトリーと2/3 を占める。
{ 紫外線遮断

² 構造
{ 上皮
球結膜に連続する重層扁平上皮で、底部に基底膜を持つ。
{ ボーマン氏膜Bowman's membrane
細胞を欠く無構造の膜で、多数の小孔があり角膜神経の穿通枝で貫かれている。一度破壊されると再生されない。
{ 角膜実質stroma
均一な膠原線維が平行して配列し、全体として格子構造を形成する。
{ デスメ氏膜Descemet's membrane
内皮細胞で産生された膠原線維からなる基底膜であり、細胞成分を欠く。
{ 角膜内皮細胞corneal endothelium
1 層の細胞で構成され、重炭酸塩ポンプを持ち角膜の含水量を調節する。角膜実質から水を前房へと汲み出すポンプ機能を担うので、内皮細胞の障害によって角膜浮腫を招く。なお角膜内皮細胞はいったん脱落すると再生しないので、欠損部は周囲の内皮細胞が伸展してこれを補う。

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