結膜疾患
- 概念 (((アデノウイルス感染)))による伝染性結膜炎であり、いわゆる「(((はやり目)))」と俗称される。 伝染力が極めて強く、院内で発生すると爆発的に広がる危険がある。
- 症状 片眼性に発症し、もう一方の眼にも広がる。幼児の場合は感冒様の全身症状を伴う。
- 偽膜性結膜炎 乳幼児の場合に眼瞼結膜に白色の膜様物が付着しているものをいう。
- (((耳前リンパ節の腫脹)))と圧痛 ウイルス感染を示唆する所見である。
- 急性濾胞性結膜炎 (((流涙と羞明)))が強い。
- (((点状表層角膜炎))) 角膜上皮下に多発する小点状の混濁であり、発症約10日後に出現する。
- 治療 本ウイルスに特異的な治療法はない。点状表層角膜炎に対してはステロイド点眼が有効である。
- 予防策 伝染力が極めて強く、角膜炎を合併すると角膜の混濁が長期にわたるため、予防が肝要である。
- 手洗いの励行
- ゴム手袋の着用
- 眼圧計 tonometerの消毒
急性出血性結膜炎 acute hemorrhagic conjunctivitis
- 概念 (((エンテロウイルス70型)))の感染による結膜炎である。幼児の感染は少ない。
- 症状 8時間から48時間程度の短い潜伏期間を経て発症する。
- びまん性の(((結膜下出血 )))diffuse subconjunctival hemorrhage 特に球結膜の上部は出血部を圧迫すると激痛があり、容易に出血する。
- 球結膜浮腫 chemosis
- 多量の眼脂
- 治療 治療法はないが、約1週間で自然消退する。
- 概念 しばしばプールで発生するアデノウイルス感染症であり、「プール熱」と呼ばれる。
- 概念 多形滲出性紅斑の重症型であり、原因や病理所見はこれと同じである。手掌が感染の好発部位となる。
- 症状 発熱・関節痛などの全身症状とともに、多形滲出性紅斑様の皮疹が急激に全身に出現し、口腔や眼などの粘膜にも広 範なびらんが出現する。
- 多形滲出性紅斑
- (((口腔内びらん)))
- 両側性の結膜炎 眼瞼結膜の充血を来たす。
肉眼所見は こちら。
クラミジア結膜炎 chlamydia conjunctivitis
- (((トラコーマ))) 日本では現在のところ新鮮例は見られない。
- (((封入体)))性結膜炎 inclusion conjunctivitis
- 治療 クラミジアはペプチドグリカンを欠くのでβラクタム系が無効である。 したがってテトラサイクリン系あるいはマクロライド系抗生物質が第1選択薬であり,一部のニューキノ ロン系薬も有効である.
結膜炎に対してはテトラサイクリン点眼で治癒する。
トラコーマ trachoma
- 概念 (((クラミジア)))属の chlamydia trachomatis による結膜炎である。 進行すると角膜潰瘍と瘢痕を生じ、いまなお発展途上国の失明の原因として上位を占める。
- 治療 テトラサイクリン系およびマクロライド系を用いる。
- 概念 オーラル・セックスによって伝播するSTDであり、結膜上皮細胞内に封入体を形成することが特徴である。 母体がクラミジアに感染していると産道感染が成立する。
- 症状 急性期は流行性角結膜炎に類似する。特に眼脂が多量である。
- 概念 淋菌の産道感染による結膜炎であるが、出産時に(((抗生剤)))点眼を施行している日本ではもはや見られない。
- (((春季カタル )))vernal conjunctivitis 春から夏に増悪するアレルギー性結膜炎をいう。眼瞼の石垣状の乳頭増殖が特徴的である。
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